初演『マノン』を読んで

初演『マノン』を読んで

 

 

 


初演『マノン』の脚本のネタバレになるので、ネタバレしたくない方は読むのをおやめください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛月ひかるさん主演の『マノン』の配役が先日発表されました。
中でも特に注目を浴びたのは、102期で2番手役を抜擢された天飛華音さんだと思います。
特に注目していた下級生さんだったので、この抜擢はとても嬉しいです。
たまたま興味を持っていたバウホール公演脚本集を手に入れたので、初演『マノン』についての感想を綴っていきたいと思います。
脚本のみで得た感想なので、音楽とかはよく分かっていません。

初演の脚本を読んだ後、最初に出た感想は「やはり、脚本に大きな変更があるのではないか?」というものです。
多くの人が2番手役であろうと予想していた綺城ひか理さんの演じるミゲルの出番が少ないため、一曲入ったり、ロドリゴとの親交を深める場面が増えたりするのではないかと思いました。
綺城ひか理さんは、ベンヴォーリオ役で素晴らしい歌唱力を知ったので歌わない役ではもったいないと思います。

逆に、天飛華音さん演じるレスコーは、「金は天下の回りもの」、「ダイス」の2曲を歌います。「ダイス」に関してはリプライズもあるので実質3曲かもしれません。
天飛さんは私は特に好きなジェンヌさんなので、この『マノン』という作品でも活躍して欲しいです。
この脚本集では蘭寿とむさんのお写真があったのですが、近衛士官姿の天飛華音さんはとてもお似合いになるだろうと思います。
遊び人だけれど、家族への情が厚いレスコーを見事に演じきる姿を期待しています。(チケットはないので配信に期待しています。)

今回の配役から、レスコーに注目して読んでいたのですが、私のレスコーのイメージは同じマノン・レスコー原作の『舞音』のクオン(珠城りょう)でした。
なんとなく、悪い人で撃たれて死ぬんだろうと思っていたのですが、レスコーはクオンとは違いマノンが主人公のロドリゴと一緒に生きていけるように手助けをします。
レスコーはマノンの暮らしぶりを落としたくないという性格をよく分かっていて、さらに、ロドリゴと愛し合っていることも大切にしているように感じました。
ロドリゴがマノンと暮らせるくらいのお金を稼げるようカードを教えたり、マノンと貴族の中を取りもって、ロドリゴと一緒にいれるようにしてあげたり……。(これはロドリゴがマノンと恋人だと言ったことで台無しになりましたが)
最後には、貴族にはめられて別々の牢獄に入れられたロドリゴとマノンを合わせてあげようと脱獄したロドリゴに協力します。
ロドリゴのためを思って行動しましたが、最後にはレスコーは命を落としてしまいます。
レスコーの最後の言葉は「ロドリゴ…」でした。
これにどのような意味が込められているのでしょうか。
レスコーは、ロドリゴにマノンの幸せを託したのではないかと思います。
ロドリゴを恨むのではなく、マノンの幸せはロドリゴなしでは成立しないのだからマノンが生きているうちはロドリゴに生きていて欲しいと思ったのではないでしょうか。
レスコーが撃たれた後、すぐにマノン、ロドリゴと兵士の銃で撃たれてしまいます。
脚本ではその後にフィナーレがありました。
脚本でも「フッ!」とか「オーレ!」とか書くんですね。
中村暁先生はどちらかというと芝居より、ショー作家のイメージがあるのでフィナーレも素敵なんだろうなと思います。
この『マノン』の脚本は柴田侑宏先生監修だからか、所々『赤と黒』や『激情』の雰囲気も感じました。
原作ありだからそう感じるのかもしれませんね。

ここまで、ほぼレスコーの話しかしていないのですが、レスコーが出てくるのは1幕の第7場からなので思ったより後半な気がします。(ちなみに、1幕は第10場までです)
プロローグの第1場はショーのようになっているのでそこでバイラオールとして出てくるかもしれませんね。

『マノン』は、マノンとロドリゴが出会わなければ、お互いの恋心を諦めたらきっと普通に生きられただろうなという気持ちにさせる不思議なお話でした。
ロドリゴが何度マノンと引き離されてもマノンの側にいたいとひたむきに行動するのがとても魅力的だと思います。
ミゲルは最初はそれを止めようとしていましたが、最後にはロドリゴの脱獄を手助けします。(手助けというよりも銃を持ったロドリゴに脅されてという形でしたが)
ミゲルの言っていることは友達として正論なのにロドリゴが全然いうことを聞いてくれなくて、不憫な人だと感じました。

 

マノンを何度も読んだ感想は、マノンに周りが振り回されるというより、ロドリゴに周りが振り回されているなぁと感じました。


マノンはロドリゴがいなくても貴族に囲われることで生きていける。でも、ロドリゴの心があれば幸せだから貴族とロドリゴならロドリゴを選ぶ。
ロドリゴはマノンがいなくては生きていけない。だからこそ必死になる。
そんな2人の話のように感じました。

ロミオとジュリエットでは、ティボルトと乳母、死と乳母の関係性だったお二人が演じるロドリゴとマノン。有沙瞳さんは、スペインものだとドン・ジュアンのエルヴィラのイメージがあるので、ロドリゴを振り回すマノンが楽しみです。

 

初演の脚本を読んで、これから始まる『マノン』という演目がより楽しみになりました!

宝塚の再演という初演と違うところを楽しむことのできる要素はとても素敵だと思います。

 

2次元オタクが宝塚歌劇にハマった話

私は元々、アニメやゲームなどを嗜む二次元オタクでした。

 

宝塚歌劇にハマったきっかけは家族です。

 

家族が続々と宝塚にハマっていき、気がついたら自分でも宝塚について詳しくなっていました。

 

初観劇は月組公演『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』です。

その時、印象に残った役は光月るうさん演じるエルフィーと、風間柚乃さん演じるフェリックスです。

海外ミュージカルなだけあって曲が良くて、何回でも見たいと思える作品でした。

その後、月組御園座公演『赤と黒』も観劇しました。

印象に残った役は、美園さくらさん演じるレナール夫人ときよら羽龍さん演じるエリザでした。

赤と黒は後に脚本を読んだのですが、脚本を読んだ時よりもエリザの存在感を強く感じました。

 

それらを見ているときには、物語の面白さに感激したり、舞台自体を楽しんでいたのですが、この次に観劇した月組の大劇場公演までに大きな変化がありました。

ライブ配信や、楽天テレビのタカラヅカ・オン・デマンド プレミアムプランに契約したことで沢山の宝塚作品やタカラヅカ・スカイステージの番組で見ることができるタカラジェンヌの素顔を知る番組に触れることでタカラジェンヌの名前と顔が一致するようになったことです。

 

とは言っても、その頃はトップスターさんや路線の方々くらいしか一致していなかったのですが、月組の『ピガール狂騒曲』を観劇して、一気に宝塚の面白さにハマりました。

和物ショーの『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』もチョンパで始まる明るい場面や鏡の場面が印象的でこれが宝塚…✨と楽しい気分になりました。

 

顔がわかると、あの人はあの時にどんな役をしていたとか、スカイステージのあの番組であんなことをしていただとかが頭に浮かんできて、とても楽しかったです。

 

つまり、宝塚は舞台を楽しむだけでなく、そこに出ているタカラジェンヌを楽しむことのできる素敵なコンテンツだと気づいたことが私が宝塚にハマった大きな理由だと思います。

 

また、宝塚はグッズも安い。

スチールや舞台写真は、アニメイトに売っていたら確実にランダム仕様で2枚で600円くらいしていたような気がする。

とても安い。

 

チケット代も、宝塚以外の公演と比べると安いです。これは、劇場を持っていることが大きいと思います。

 

なので、手に取りやすいなと感じます。

チケット代が安いと遠征費に少しかけてもいいかと思えるところも良いところです。

 

宝塚を楽しむのは舞台と、そして舞台以外の要素が強いと思いました。

 

まず、宝塚大劇場周辺のソリオから花のみちの独特の雰囲気。

宝塚という夢の国へ入っていくドキドキ感がたまりません。

今のところ大劇場でしか観劇したことはないのですが、とても素敵な場所だと毎回新鮮に感じます。

 

タカラヅカ・スカイステージでの毎日のタカラヅカ・ニュースやNOW ON STAGE も魅力の一つです。

そのときにやっている公演の見どころや稽古場の様子でどのような場面があるのかをよく知ることができます。

 

これは、他の劇団ではほとんどないのではないでしょうか。出演者が舞台について語っても、ほとんどCMのような短い時間で、その人について詳しく知る機会もない。

宝塚歌劇はいわゆる『供給』が多いのです。

だからこそ、頑張っているタカラジェンヌさんの存在をより身近に感じて応援したくなるのではないでしょうか。